『鳴子漆器』
○歴史
約350年前に、蒔絵師が修行のため京都に行き、京漆器の技術を持ち帰ってきた事から始まった考えられています。
明治時代に入り、二人挽きが主流だったろくろが、一人挽き足踏ろくろに変わり、製品の種類も豊富になりました。
昭和には、鳴子出身の漆器工芸研究家が龍文塗を考案し、時代と共に進化しています。
○特徴
木目を生かした木地呂塗と言う技法が特徴です。
飴色の透明な漆で、使うほどに美しい木目が浮かび上がります。
龍文塗はマーブル模様が美しい変わり塗で、歴史は浅いですが代表格のひとつです。
厚みのある木地に漆を何重にも重ねているので、長年の使用に耐えられ、とても丈夫です。
以下の写真が木地呂塗です。木目が美しい光沢のある漆器です。
毎日使って手に馴染み、愛着が湧いてくるのが想像できます。
参考画像があまりなく、人様のブログから画像を引っ張ってきてしましました。
マーブル模様なので、これが龍文塗かと思います。
美しいですね、もっと色々な商品をみてみたいです。
○製作工程
木取り・木地挽き(木地師が木を成形)↓
木地固め(木地を補強する)↓
錆付け(砥の粉と漆と水を練ったもので木地の表面を塗り、細かい穴を埋める)↓
錆研ぎ(研いで漆が乗りやすい様にする)↓
中塗り(中漆で塗る)↓
中研ぎ(乾燥させ、中塗り中研ぎを繰り返す)↓
上塗り(純度の高い漆を使用し、仕上げ塗り)
次回は、『川連漆器』
『浄法寺塗』
○歴史
728年、天台寺開山の際に僧侶が自らの什器をつくるのに漆工技術を持ち込んだのが始まりと考えられています。
その後、庶民が普段使いする漆器として天台寺周辺に広まりました。
戦後には安価な合成樹脂等が普及し、一時は廃れますが、昭和50年に地元の漆掻き職人と塗師が復活させ、60年には国の伝統的工芸品の指定を受けています。
○特徴
浄法寺は国産漆の約60%を生産している産地として有名です。
漆器は黒・本朱・溜色の単色で、光沢を抑えた仕上がりになっています。
普段使いを前提としているので、丈夫で飽きないデザインです。
使い込む事で磨かれ、美しい艶が出るのも醍醐味のひとつでしょう。
特徴にもある通り、凄くシンプルな毎日使いたい見た目ですね。
手触りも良く、日々自分の手に馴染んでいきそうです。
下の写真は2020年にグッドデザイン賞を受賞している角杯です。
”片口”のリデザインで、伝統の中にスタイリッシュさを感じます。
これでお酒が飲めたらさぞ美味しいでしょう。。。
○製作工程
挽物加工(原木の伐採は木の成長が止まっている時期に行う)↓
玉切り(原木を漆器の直径に合わせて切る)↓
寸法決め・大割り・小割り(木目で作る漆器の種類を決め切り出す)↓
荒挽(ろくろで回して荒削りし、数ヶ月寝かせる)↓
乾燥↓
中挽・仕上挽(歪みを削る)↓
下地加工(生漆を染み込ませ、蒔地下地と漆地下地のどちらかを施す)↓
塗漆(上塗り。溜色には仕上げに透漆を塗る)
製作工程が動画でわかるものではありませんが、素敵なプロダクトムービーがありましたので、是非ご覧ください。
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私自身、浄法寺塗は結婚式の引き出物にしたいなと、昔から考えていました。
結婚式もせずバツイチになりましたが。。。笑
せめていつか大切な人にプレゼントしたいと思います。
そして自分でも使い込んで漆器を育てる経験も積んでみたいなあ。。
次回は、『鳴子漆器』
『秀衡塗』
○歴史
藤原秀衡が深く関係しており、平安時代に京の都から職人を呼び、平泉周辺で採れる漆と金箔を使って、漆器をつくるように命じたのが始まりと考えられています。
漆器の名前にもなっている通り、藤原氏とゆかりがある事が有力な説となっています。
○特徴
平泉周辺で採れた金箔をあしらっています。
漆器としては珍しく艶やかな有職文様で、植物等の自然のものが描かれることもあります。
質感は独特で、光沢を抑えた仕上げがされており、素朴な漆本来の美しさも兼ね備えています。
下の写真のお椀も凄く豪華な印象を受けます。金箔の力ですね。。。
お料理もより一層美しく見えそうです。
一風変わったワイングラスもありました。
本来の漆器の印象をガラッと変える、グラスという掛け算も素敵ですね。
水を注ぐと水面に富士山が浮かび上がるそうです。なんてロマンチック。。。
○製作工程
漆掻き(漆を採取する)↓
玉切り・型打ち(お椀型に木を荒く削り、乾燥させる)↓
木地挽き(形を仕上げる・ろくろを回しながら研ぐ)↓
木地固め(生漆を塗り変形を防ぐ)↓
布着せ・下地塗り(壊れやすい部分には布を着せ補強)↓
塗(下塗り・中塗り・上塗りの3色で色付け)↓
加飾(絵柄を施す)
特に加飾の工程がわかりやすい動画を見つけました。
是非、ご覧ください。
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私自身も青山スクエアで秀衡塗を見たときの胸のトキメキは覚えています。
商品のラインナップも多く、プレゼントとしても喜ばれる一品でしょう。
次回は、『浄法寺塗』
『津軽塗』
○歴史
始まりは約350年前で、塗師の池田源兵衛が創業者と伝えられています。
明治時代の廃藩置県で一度衰退しますが、製造所や組合が結成され、津軽塗は産業として息を吹き返しました。
1955年に全国漆器展で優勝し、人気を博しました。
○特徴
代表的な技法に、唐塗・七々子塗・紋紗塗・錦塗、があります。
特に唐塗は「バカ塗り」の異名を持つ最も有名な技法ではないでしょうか。
唐塗の工程は48にも及び、製作に長期間かかることからそう呼ばれています。
七々子塗は丸い点の小さな模様が特徴です。
商品のラインナップも多様で、食器からなつめ、テッシュケースまで様々です。
下の写真は唐塗のお椀です。”THE津軽塗”の商品ですね。いつ見ても美しいです。
七々子塗りの柄です。下記のサイトでは自分の好みの下地と柄の色を選んで注文できるようです。素敵!!!
津軽塗のリング、渋くて素敵です。。。欲しい。。。
アクセサリーとして身につけるのも楽しい柄ですね。
○製作工程 ※一部抜粋
木取り(木の削り出し)↓
布着せ(下地の漆を塗り、布を張る)↓
地付け(漆を何層も塗り、研ぐ)↓
仕掛け(斑点模様をつける)↓
塗掛け(色漆を塗る)↓
彩色(色漆を塗る)↓
妻塗り(素黒目漆を薄く塗る)↓
上げ塗り(仕上げ塗り)↓
研ぎ(凹凸を取り除く)↓
胴摺り(研ぎ跡を消す)↓
呂塗り(艶出し)
製作工程の動画があります。最後に模様が浮き上がった時は心踊ります。
是非ご覧ください。
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私も実際に津軽塗の食器を使っていますが、気分も上がり凄くいいです!
料理も映えて、食事がより楽しくなります。
他のアイテムも欲しいので、また商品を手にとって見れる機会があればいいなと思っています。
次回は、『秀衡塗』
『小千谷縮』
○歴史
始まりは1200年前程度であると、当時の文献から考えられています。
現在の小千谷市周辺では、自然環境が麻織物の生産に適していました。
朝廷や将軍家への献上品として贈られていた記録もあります。
明治時代以降には工業化が進み、古くからの生産方法で作られる物はごくわずかになりましたが、伝統が守られ受け継がれています。
○特徴
麻の繊維で作られる織物で、撚りの強い糸を使うことで撚りがほどけた時に「シボ」が生まれます。
もともと麻は水分を発散し乾燥しやすいので、ベタつきにくい着物が作れます。
さらっとした夏には最適な着物です。
写真の生地は凄く清涼感があり、触ってみたくなります。。。
見ているだけで涼しいです。
ボディタオルもあります。きめ細やかな泡が立つようです。
使い込むほどに柔らかくなるようで愛着が湧く一品ですね。
私も欲しいです。。。
○製作工程 ※一部抜粋
図案作成↓
糸づくり(苧麻から繊維を取り出して乾燥させる)↓
糸繰・手延べ・経延べ・緯延べ(糸の長さと数を調節し、糸を整える)↓
墨付け・くびり(模様の位置に墨付けし、糸でくくる)↓
摺り込み・染色(染料を摺り込む)↓
製織↓
仕上げ(湯もみし、シボという凹凸を出す)↓
雪さらし
最後の工程の雪さらしの動画です。天気の良い日に雪にさらすと天然の漂白効果があり、より美しい模様になるそうです。
凄く美しい動画なので、是非ご覧ください。
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次回は、『津軽塗』
『塩沢紬』
○歴史
1200年以上前から塩沢地方で「越後上布」として生産されていたと考えられています。
この越後上布の技術を江戸時代に絹織物に応用したものが本塩沢、真綿糸を使用したものが塩沢紬となりました。
○特徴
派手さはなく、落ち着いた風合いが特徴です。
結城紬や大島紬と肩を並べる素敵な着物ですが、塩沢紬は「通好み」でもあるようです。
わかる人にはわかる上品な着物だそうです。
着物素人には難しいですが、シックで素敵な印象です。
マスクもあるようです。気軽に身につけられていいですね。
○製作工程
図案↓
糸つくり・撚糸(太さや強度を均一にする)↓
墨付け↓
くびり(墨付け部分に色がつかない様に結ぶ)↓
摺込み(墨付けした部分の染色)↓
製織
個人的には、くびりの後、糸の染色しないの?!と思いましたが、調べても次工程は摺り込みになていました。。。
動画で製作工程を見たいですね。
何本かYouTubeに動画はありましたが、製作工程がよくわかるものは見つかりませんでした。
いつか、もっと深く調べられればいいなと思います。
次回は、『小千谷縮』
『多摩織』
○歴史
東京都八王子周辺の工芸品、多摩織。
平安時代末期には既に作られていたと考えられ、室町時代後期に生産が盛んになります。
江戸時代には絹市が開催され、「八王子織物」として知名度が高くなりました。
生産量が増えるにつれて、作業工程も細分化・分業化されていきました。
○特徴
先染織物で、以下の5種類の織物が多摩織として指定されています。
・多摩結城:皺(シボ)が特徴
・紬織:凹凸が生み出す風合いが特徴
・捩り織(もじりおり):糸と糸の間に隙間がある
・変り綴(かわりつづれ):多色の緯線から模様を作る
・風通織:2枚重ねの織地が模様を作る
ネクタイやマフラー等、着物以外の製品も多く作られている。
写真の生地も柄によって雰囲気が全く違い、好みの物も見つかりそうです。
○製作工程
精錬(糸の不純物の除去)↓
図案作成↓
染色↓
お召撚り(撚りをかけて強度を増す)↓
整経(経糸を整える)↓
機巻き(ロット棒に経糸を巻きとる)↓
製織↓
仕上げ(湯もみし、糊を落として乾燥させ、蒸気をかけて伸ばす)
次回は、『塩沢紬』