『本場黄八丈』
○歴史
平安時代末期から作られ始め、室町時代に年貢として納められていたのが始まりです。
黄色は不浄除けの意味があり、魔除けとしても着られていました。
始めは黄色だけでしたが、樺染、黒染が始まり、格子や縞を柄として織られるようになりました。
○特徴
黄、樺、黒の三色のみを使い、手織りで作られています。
三色だけの理由は、八丈島の厳しい自然の中で得られる染料が三色だけだったためと考えられています。
格子や縞の伝統的な柄で、渋く品のある織物です。
黒系の着物に凄く映えそうな帯ですね。深みのある黄色です。
蝶ネクタイも見つけました。赤色が入っても素敵ですね。
伝統と現代需要の素敵な掛け算です。
○製作工程 ※一部抜粋
精錬(糸の不純物を取り除く)↓
染め↓
ふしづけ(植物で煮出した汁に漬け込み、乾燥させるを繰り返す)↓
あくつけ(色鮮やかに発色させ得るため、灰汁に漬ける)↓
ふしづけ↓
あくつけ↓
ふしづけ↓
泥づけ(黒染に対して行う)↓
製織
色々と動画拝見しましたが、一番製作している様子がわかりやすかった動画です、是非ご覧ください。
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次回は、『多摩織』
『村山大島紬』
○歴史
江戸時代から木綿紺絣の産地として知られていました。
大正初期に群馬の伊勢崎市より板締染色の技術が導入され、絹織物が盛んになりました。
品質の高さと丈夫さが評価され、東京都指定無形文化財として認められています。
○特徴
染め上がった絣糸を図案通りに並べ直してから織るので、生地は微妙なずれのある素朴な風合いです。
民芸調の模様で、絹の光沢があり、軽くて着心地が良いのが魅力です。
下の写真の着物は古風な印象を受けます。派手過ぎず、地味過ぎず、上品ですね。
生地を拡大したものを見ると緻密さにうっとりします。。。
ポーチや、タブレットケースなどの商品もあり、村山大島紬を身近に感じられそうです。
○製作工程
絣板製作(絣板に溝を掘り、この板を重ねて締めることで溝に染料が入り染まる)↓
精錬加工(糸を煮て不純物を除去し、乾燥させる)↓
地染め(植物染料で地糸を染める)↓
整経↓
板巻き・板積み(経糸を絣板に巻きつけて板の間に合い板を挟み、積む)↓
板締め染料(重ねた絣板に圧力をかけて締める)↓
すり込み捺染(別の色を重ねる)↓
機巻き(糸を組み立てる)↓
製織
NHKさんのわかりやすい動画がありましたので、是非ご覧ください。
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次回は、『本場黄八丈』
『秩父銘仙』
○歴史
山に囲まれ稲作に向かず、昔から養蚕業が盛んで、規格外の繭を使い「太織」と呼ばれる野良着を作っていました。
その太織が秩父銘仙に名前を変え、技術の進化によって大胆で華やかなデザインの織物となりました。
大正から昭和にかけて、お洒落着として女性に人気でした。
○特徴
糸に型染めをするため、生地に裏表がない平織りです。
裏表がないため、何度も仕立て直すことができ、長く使えることが魅力です。
布に玉虫色の光沢があります。経糸と緯糸のそれぞれ違う色を使うことで、光沢が出ます。
とても華やかな柄で昔から女性に人気があったこと、とても納得です。
マスクも可愛らしくて、ファッションのアクセントにもなって素敵です。
○製作工程
仮織り(次工程で糸が縮んだりすれたりするのを防ぐ)↓
捺染(なっせん ひと型ずつ型染めする)↓
蒸し(染料を糸に定着させる)↓
乾燥↓
巻き返し(本織前に経糸を巻き返す)↓
製織
捺染の作業はまるで版画のような作業です。
体験も行なっているようなので、機会があればチェックしてみて下さい。
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次回は、『村山大島紬』
『桐生織』
○歴史
「西の西陣、東の桐生」という言葉がある程、知名度があります。
昔から養蚕に適した地形や気候で、桐生織には1000年以上の歴史があります。
朝廷の官女、白瀧姫と宮使い(故郷が桐生)が結ばれたことが普及の背景にあるようで、その白瀧姫が桐生の人々に織物を伝えたことが今に繋がっています。
足利尊氏などの歴史的な武将達も身の回りにも桐生織が使われていたそうです。
○特徴
織り方の技法が7種類もあります。
柔らかい感触と光沢が特徴で、高級装飾品から服飾品まで製作されています。
手作業工程が多いので、同じ柄でも職人によって違いが出るそうです。
上品な物から豪華さを感じるものまで柄の種類が豊富です。
スヌーピーの桐生織ポーチなんて物もありました。
お手頃な値段で桐生織を身近に楽しめます。機械織りが成せる技術ですね。。。
○製作工程
製糸(蚕から糸を取り出す)↓
精錬・染色・糊付け(糊は次工程でよりが戻るのを防ぐため)↓
撚糸(ねんし 細い糸を合わせて丈夫にする)↓
整経↓
意匠(図案)↓ ※今ではPCでデザインし、織り機に転送する事もできる
製織↓
しぼ出し(お湯に浸けてのりを落とす)
次回は、『秩父銘仙』
『伊勢崎絣』
○歴史
群馬県伊勢崎市周辺の伝統工芸、伊勢崎絣(いせざきがすり)。
水はけの良い土地で、古くから養蚕が栄えていました。
18世紀初め、江戸時代の絹市で販売されました。明治時代末期には機械化もされ、作業工程の改善でより美しく進化している伝統的工芸品です。
○特徴
代表的なものは着物ですが、今はネクタイやのれん等も製作されているようです。
使うほどに絣の模様や光沢に味が出て生地に深みを与えてくれます。
そして何より絵柄のバリエーションが豊富で印象的なものも多いです。
伊勢崎絣より少々安価な伊勢崎銘仙では、下の写真のような展示会も過去に行われていたようです。絵画のような美しさですね。。。
○製作工程 一部抜粋
意匠づくり(図案)↓
糸の準備(精練・漂白・糊つけ)↓
糸繰り・整経(糸を玉状に巻き取る)↓
墨付け↓
摺込捺染(すりこみなっせん 目印通りに色を入れる)↓
しばり(デザイン部分以外の染色)↓
浸染(色を定着させるため熱湯に糸をさらす)↓
絣合わせ(干して乾燥させる)↓
経巻(へまき 織物の幅を揃える)↓
引込(織機に糸をセットする)↓
製織
工程が文字や写真だけでは、理解が足りない部分が多いと感じました。
捺染加工部分の動画がありましたので、是非ご覧ください。絵柄も美しいです。。。
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次回は、『桐生織』
『結城紬』
○歴史
結城地方からその名がつきました。
奈良時代には「あしぎぬ」と言う名前で朝廷への献上物とされていたのが、結城紬の原型と考えられています。
室町時代に幕府などへ献上され、有名な物産となりました。
○特徴
重要無形文化財にも指定されている最高級の絹織物です。
柔らかく、空気をたくさん含むので温かく、とても心地いい生地です。
使い込み、洗うほどに絹の光沢が出ます。
上の写真は無地の結城紬ですが、帯との相性も抜群で上品さを凄く感じます。
○製作工程
糸つむぎ(真綿から手でよりをかけずに一定の太さで糸を引き出す)↓
管巻き(糸車を使って管に糸を巻き取る)↓
かぜあげ(糸を一定の長さに束ねる)↓
図案作成(布地の図案)↓
整経(上糸・下糸に分ける)↓
墨付け↓
絣(かすり)くくり(墨付けした柄になる部分を綿糸でしばる)↓
染色↓
下ごしらえ(経糸を機織り機にかけるまでの工程)↓
製織
下の写真のような緻密な柄を絣くくりで出していると思うと、凄すぎます。。。と思ってしまいます。
製作工程の一部が動画で見られますので、是非。
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特に糸つむぎは、世界的に見ても珍しく、貴重な技術です。
着物以外の結城紬も、もっと見てみたいですね。
次回は、『伊勢崎絣』
『奥会津昭和からむし織』
○歴史
江戸時代から原料のからむしの栽培は行われていたそう。
村内で織りの技術は、親から子、姑から嫁と代々受け継がれてきました。
○特徴
原材料のからむしは品質が高く、水分の吸湿、速乾性も良く水に濡れると強さが増し、耐久性にも優れています。
さらりとした感触で、夏の衣料に最適です。
上の写真のストールもとても素敵な色合いで手触りも抜群そうです。
昔の織物と言うと、色のバリエーションがないと思いがちですが、今は違いますね。
下の写真は髪飾りのバレッタです。見ているだけでワクワクしてきますね。
○製作工程
からむし引き(からむしの皮を剥ぎ、繊維部分を取り出す)↓
乾燥↓
糸績み(繊維を細く裂いて糸を繋ぎよりをかける)↓
製織(地機で行う)
からむしの収穫からからむし織の完成までに1年以上かかります。
人の手の温かみ、そのもののような商品です。
小物入れやピアスなどの商品も販売しているようで、私も欲しくなってきました。
製作体験もやっているそうです。詳しくは下記のURLをどうぞ。
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https://www.karamushi.co.jp/michinoeki.html#contents01
次回は、『結城紬』